お勧め本・『「医療否定本」に殺されないための48の真実』

2013-09-18

『「医療否定本」に殺されないための48の真実』(長尾和宏/扶桑社)

医療否定本に殺されないための48の真実

著者の長尾和宏氏は、兵庫県尼崎の「町医者」。本書では、昨今の「医療否定本」の大ブームに警鐘を鳴らしています。

「こういう本が出て良かった」というのが、私の率直な感想です。

長尾先生は、「はじめに」の中で次のように書いておられます。

注目を集めている「医療否定本」の多くは、あまりに極論であり、誰にでも当てはまる話ではありません。むしろ、当てはまらない人のほうが多いように思います。そのため、本の“副作用”とも言える、負の影響が大きく出ているのです。(7頁)

ここで言う“副作用”とは、たとえば次のようなことです。

まだ若くて、助かる範囲にある早期がんなのに、「医療否定本」の教えを真に受けて治療を拒否する患者さんに多く出会います。目新しさから本が売れて、放置療法という言葉が独り歩きしてしまい、ときに人の命を不要に奪っている。医者が書いた本の影響でせっかく助かる命が亡くなるなど、本来あってはならないと思います。本書は、そうした出版の責任を改めて感じながら書いています。(89頁)

町医者として多くの患者さんに触れている医師らしく、優れたバランス感覚で書いておられるという印象を受けます。

「お勧め本・『医者の世話にならない生きかた』」という記事にも書いたように、私も「医療否定本」のブームには疑問を感じていました。たしかに「極論」的なものが多く、なにより書き方が激しい。誰かにそうとうの恨みでもあるのかなと疑いたくなるような調子で書かれていたりします。私はそこが一番引っかかります。

当院のような民間療法を好む人には、しばしば「極度の医者嫌い」という方がおられます。「医者じゃ良くならない」「医者には絶対にかからない」と言い切る人もいます。

現代医療を考えるときに、さまざまな負の面があることは事実です。しかし問題は、そこまで嫌ってしまう心のバランスの悪さです。そのような人は、民間療法も転々とする傾向があります。

「毒づく」ことは健康とは逆の方向です。毒づくタイプの健康本は要注意です。

情報が溢れている時代だからこそ、長尾先生も言うように患者が賢くなる必要がありますね。

カテゴリー: 書評

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