強圧揉みを好みがちな人に読んでもらいたいお話。

2015-02-07

Aさん(40代女性)は、長年の首肩こりに悩んでおられました。以前はマッサージ店をよく利用していて、「かなり強く揉んでもらっていた」ということです。

私の施術を初めて受けた直後は、「押す強さが物足りなく感じたのでどうかなと思った」。ところがこれまでになかったほど体が楽になり、変化を感じることができたのです。

私は、「強く押せばいいというものではないんですよ」とお話しし、「ほんと、よくわかりました」と喜んでおられます。

効いていないのではなく、センサーが壊れている

私の押圧は、強いか弱いかでいえば、強いほうだと思います。しかし、けっして力いっぱいグリグリと押すわけではありません。強さよりも大事なことは筋肉の硬結を的確にとらえることです。的確にとらえてさえいれば、それほど力を入れなくても十分効きます。

それでもごくたまに、「もっと強く押して欲しい」とおっしゃる方があります。そういう方は、Aさんのように、これまでかなりの強圧で揉んでもらってきた人です。そのせいで体のセンサーが壊れてしまっています。

つまり、グリグリとゴリ押ししてもらうことに慣れ過ぎてしまって、そこまでしてもらわないと効いた気がしなくなっているのです。

強過ぎる押圧をおすすめできない理由

強過ぎる押圧がおすすめできない理由はいくつかあります。

1.筋線維を傷める

筋肉は細かな線維の集まりです。強過ぎる押圧では線維が壊れてしまい、筋肉痛や内出血につながります。いわゆる「揉み返し」です。強過ぎる押圧をおすすめできない理由のひとつがこれです。

2.ほぐれるわけではない

次に、実際問題として、筋肉の硬結は、強く押したからといってそれだけほぐれるというものではありません。そのときは「効いた」気がするかもしれませんが、ほぐれるわけではないのです。強過ぎる押圧は、かえって体を緊張させ、筋肉を硬くする場合さえあります。

3.受け手の考え方の問題

そしてもうひとつ重要なことは、受ける人の精神面です。自分の体をこれでもかと言わんばかりに押してもらうのは、自分の体をいじめている状態に近いと、私は考えます。『北風と太陽』でいえば、絶えず北風を吹きつけているようなものです。強い押圧を好む人には、自分が自分の体に対して、そのような「力ずく」の状態に陥っていないかどうか、考えてみていただきたいのです。

体は常に良い状態になろうとしています。大事なのは、体は良くなろうとしていると信じて、その力を引き出してあげることです。そのためには、歯を食いしばって鞭打つようなあり方を改める必要があります。自分の体にダメ出しするのではなく、ゆっくりいたわりながらお手入れしてあげて欲しいと思います。

一度力を抜いてみよう

筋肉がもっともほぐれるのは、その人自身の力が抜けてきたときです。

「力が抜けないからこるんじゃないか」と言われそうですが、「体の力」というよりも「気持ちの力み」のことと思ってください。優れた施術家は、筋肉以上に、その人の気持ちのほぐれ方を見ているものです。

Aさんは、「眠れるようになってきたのが嬉しい」と明るい表情でおっしゃっています。

いくら強く揉んでもらっても体が軽くならないとお悩みの方に、参考になれば幸いです。

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